理事長就任ご挨拶

公益財団法人市川房枝記念会女性と政治センター理事長

林 陽子

 私は2023年7月5日に開催された公益財団法人市川房枝記念会女性と政治センターの理事会において、菅野則子理事長の後任として、新理事長に選任されました(任期は2025年6月までの2年間)。

 去る6月3日に婦選会館で開かれた市川房枝生誕130年記念シンポジウムにおいて、会場にお越しくださった赤松良子さんが、労働省婦人労働課長時代に結んだ市川さんとのご縁をお話ししてくださいました。その赤松さんはかつて労働省を退職された際、「60代はゴールデン・エイジよ。これから好きなことができるのだから。」とおっしゃっていました。当時私は30代でしたので、この言葉がピンと来ませんでしたが、いざ自分がその年代を迎え、これから何をしようかと考えた時に、健康で働ける残りの時間は日本の女性運動のために使いたい、と思うようになりました。それは、私を国連女性差別撤廃委員会に送り出してくれた日本の市民社会および日本政府に対する私の「恩返し」でもあります。当財団には60年余りの歴史、婦選会館とそこで働く少数精鋭のスタッフ、支えてくださる維持員・寄附者の皆様、そして市川房枝というたぐいまれなるアイコンが創設者として存在します。このような団体に貢献できることは、真に幸いなことだと考えております。

 世界経済フォーラムが2023年6月に公表した「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」では日本は過去最低の125位(対象国146か国中)となりました。その大きな原因は政治における女性の参画が少ないことです(138位)。他方で、本年4月の統一地方選挙では各地で女性議員の躍進が見られ、日本社会に変化の兆しも現れています。

 当財団は財政的に大変厳しい状況にありますが、「意思あるところに道は拓ける」と信じて、当財団をご支援くださる皆様とともに知恵を絞りつつ活動をしてまいりますので、より一層のご支援ご鞭撻を心よりお願い申し上げます。