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「一人ひとりが尊重される権利」を守るために

2025年度1回目の政治参画フォーラムが5月24日に行われた。

1. 基調講演「 こどもの健やかな育ちのために」    竹内 和雄さん(兵庫県立大学教授)

 society 5.0超スマート社会は、コロナ感染拡大で進み、AI 家電、キャッシュレスや無人走行バスなどが実現しつつある。ネットは、便利で楽しい面もあるが、危険や不安とも隣り合わせである。飲食店で迷惑行為を行い、動画をあげたために損害賠償請求された例や首相のフェイクニュースなど様々ある。法や制度がネットの普及や進化に追い付いていない。2歳児の6割以上がネットを使っている。学校でのネットによるトラブルは、社会の責任でもある。ネットで炎上するのは0.5%であり、学年にひとりいる計算となる。

 学校でのいじめは、被害者と加害者が速い速度で入れ替わり、ネットを介して行われる。加害者は、朝食を食べていない場合が多く、保護者に朝食を作ってもらえないことに失望している。おとなにほめてもらいたい、話しかけて欲しい、学校行事を行って欲しいなどと考えている。相談できるおとなや窓口があることが重要である。ネットに手段が変わっても「心」が解決の鍵となる。(正)


2. 講演「 給食無償化 ―子どもの食格差とセーフティーネットの構築―」

鳫 咲子さん(跡見学園女子大学マネジメント学部教授)

 coming soon


3. 講演「 デジタル性暴力ってなんだろう?―スマホ必携が進む社会で―」 

    内田 絵梨さん(NPO法人ぱっぷす理事)

NPO法人ぱっぷすとは、2017年11月設立したデジタル性暴力や性的搾取による被害の相談に応じている団体で、被害直後からの総合的な支援のため、4つの活動を行っている。

① 相談支援

② 人に変わって拡散した性的画像記録の削除要請を行う

③ アウトリーチ、居場所提供

④ 政策提言

 

デジタル性暴力とは、「性的同意」の自由がなくなって、自分の意志による写真や動画のコントロールができなくなる状態。写真を撮る、写真を持つ、誰かに見せる、取った写真やネットで見る、すべてが性暴力になる。

令和5年度総務省調査報告から、全年代では、スマートフォンの利用率が97.5%と高く、年代別でも各年代で90%を超過。水道の普及率と同等という。

 

どんな手法での被害かというと

1)グルーミング(子どもに近づき信頼を得て、その罪悪感や孤立感などを利し、関係性をコントロール(支配)する

2)セクスティング(性的な会話、自画撮りの要求、ビデオ通話の録画)

3)セクストーション(ATMでお金支払えなど脅し)

リベンジポルノ(性的画像を拡散)        

加害を可視化するため、グルーミングの加害実態調査を実施し、その結果、2023年グルーミングに関する法律が新設された。

金銭セクストーションは急速にエスカレートする脅威だが、まだ対策をしていない日本の若者がターゲットにされている。

被害者への対策として、1文字たりとも情報を送らない、即ブロックなどの対応で被害者を孤立させない。しかし、被害をなかったことにし、被害者を追い詰め、声を挙げさせない仕組みがある。

 

「自己責任」にさせない社会を作るには、

1)性的同意・デジタル性暴力の認知度向上

情報や出来事を正しく理解し、単なるITスキルではなく、法的・倫理的な判断能力のインターネットリテラシーが必要だが、性的同意やデジタル性暴力を知らないと理解や判断ができず、無意識のうちに加害行為を行ってしまう可能性もある。

2)人の気持ちに思いを馳せる(想像力を育む)

自分の行動がどう影響を及ぼしていくのか、相手はその時どう思っているのか、相手の気持に思いを馳せるための想像力を育む必要がある。

 

自分の権利を主張することが大事

自分が守られる法律がある 証拠を味方につける 専門機関に相談

 

意に反して拡散した性的画像記録の削除(ソーシャルワークの視点から削除)

2019年度17,389件 → 2021年度 21,876件 (約70%削除)

 

削除要請における撮影された側と撮影者・消費者の格差

撮影された側  匿名性が担保されていない

撮影者・消費者 匿名性が担保されている

 

最後に

性暴力は寂しさや不安からの支配欲

教育委員会や先生方にもデジタル性暴力について話を聞いてほしい

行政作成のチラシにも掲載し駅やトイレに置く

「相談してもいい」という認識をより広げるために、人と人とが「繋がること」が大切

 

多くの方々にデジタル性暴力被害について周知していくことが必要である。(田)



市川房枝政治参画フォーラム 2025 「一人ひとりが尊重される権利」を守るために

日時 2025年5月24日(土)10:00~16:15
会場

婦選会館<対面式>

(東京都渋谷区代々木2-21-11)

講師

▽基調講演 「 こどもの健やかな育ちのために」

竹内和雄さん(兵庫県立大学教授)

▽講演「給食無償化 ―子どもの食格差とセーフティーネットの構築―」

鳫咲子さん(跡見学園女子大学マネジメント学部教授)

▽ 講演「 デジタル性暴力ってなんだろう?―スマホ必携が進む社会で―」 

内田絵梨さん(NPO法人ぱっぷす理事)

▽16:30~17:30 交流会(自由参加・要予約・茶菓代500円)

参加費

現職議員12,000円・現職議員以外5,000円

〈音声(CD)受講:1コマ3,000円+送料〉

定員 約40名(要予約、受付先着順)
申し込み方法 フォームメール、FAX、電話でお申し込みください。