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第2回 フォーラム 18歳からの選挙権 高校生が討論する「主権者になるということ」

  2016年度に引き続き、2回目のシンポジウムを開催した。今回も全国4校から高校生が参加し、旭川明成高校千葉烈さん、仙台城南高校佐藤楓夏さん、桜丘高校(東京)戸津桃花さん、沖縄尚学高校邊土名史穏さんの4人が引率教員とともに上京した。18歳選挙権、主権者学習の意義を確認する機会となった。

 

 1日目は、山口理事長のあいさつに続き、DVD「日本を変えた女性たち 市川房枝~女性の権利を求めて闘った政治家」を上映後、ギャラリーの理事や評議員らを交えたアイス・ブレイキングでお互いに知り合ってからプログラムを進めた。今回コーディネーターは、前回参加した上原晴美さん(沖縄尚学高校卒、創価大学2年生)と大塚莉那さん(桜丘高校卒、上智大学1年生)。3校の在校生に行った「18歳からの選挙権」についてのアンケート調査結果(回答797人)に基づく意見交換や、「ワークショップ&対話」を2人がリードした。ワークショップでは、4人が事前に提出した関心について発表した。

 

 今回のシンポジウムを企画した五十嵐暁郎理事(立教大学名誉教授)は、アンケート結果について 「2年前とそれほど大きな変化はなかったが、今回も自分の利益や考えを積極的に主張することに躊躇している様子がうかがえるところが気になった」「ベビーブーマの世代は人口も多く、投票率も高いので日本の政治がこの世代の意見、利益が優先される『シルバーデモクラシー』になっていること、そもそも公共性というものは私的な利益の集積と調整であり、個人の利益が非難されるべきではない」と解説した。

 

 2日目は、午前中、尾辻かな子衆院議員が「LGBT問題の取組みと政策」について報告した。先のアンケートでも3.4%が性別を「その他」と回答していたが、自身、当事者としてカミングアウトしている尾辻さんは、性の要素(sex=身体的な性、gender identity=性自認〈心の性、自分の思う性別〉、sexual orientation=性的指向〈誰を好きになるか〉)の組合せで多様な性が存在するが、「同性愛は自分で選んでそうなった」「同性愛は治療することができる」などの偏見が性的マイノリティの人びとを苦しめていると述べた。また最近自治体がようやく同性パートナーに証明書を発行するようになったことや、性的マイノリティの人々は「あなたとともに生きている」という思いや、「この人々の問題は私たちの社会の問題」だと受け止め、「正確な知識を広げてほしい」と結んだ。

 

 参加した高校生からは、後日「地域が違うと学校での取組みも異なり、また同じ話題でも人によって違った方向からとらえていることを発見し、良い機会となった」「選挙や政治について自分や周りの関心が低いことに気付かされた。私にはもう選挙権があるので、自分が選挙に参加するだけでなく、周りのみんなにも興味を持ってもらえるように働きかけていきたい」などの感想が寄せられた。