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連続講座①「市民目線で考える戦争と平和~トランプ政権・安全法制と日本」講師:柳澤協二さん(国際地政学研究所理事長、「自衛隊を活かす会」代表)

講師の柳澤協二さんは防衛庁出身で、小泉内閣から麻生内閣まで内閣官房副長官補として安全保障・危機管理を担当。現在国際地政学研究所理事長を務める。
講座前日の4月7日、アメリカがシリアを攻撃したことに触れ、自分は安全な場に身を置いていてミサイルを撃つのは卑怯者の戦いだと断じた。トランプ大統領の「アメリカ第一」は「力があれば平和になる」「強ければよい」という力による平和への信奉である。富と名誉は誰しも求めるが、その独り占めは戦争を招くと言う。
戦略とは目標と国力のバランスの上にあるべきものだが、日本の「責任と役割を強化する」というアメリカへの追随は、何の戦略も持たない。日本は軍拡と作戦協力以外の選択肢を失い、しかも「強化」には限界が定められていない不安がある。国民はどこまでついていけるか。 安保法制の基本的思想は日米の一体化により抑止力を高めること。「ミサイルを防ぐ抑止力とは何か」「安倍首相答弁に見る抑止力の論理」などを詳細に述べるとともに、集団的自衛権の行使における武器使用に触れ、その危険度は「1+1は3」ではなく、「1+1は200」になるほどのものなのだと言う。戦争とは暴力による国家意思の強制、平和とは戦争の恐怖から解放されること。戦争は他人事ではなく、主権者として国民1人ひとりの選択が問われることである。自分なりの価値判断基準でよいから、自分の考えを持とうと訴えた。