女性展望カフェ「『戦禍に生きた演劇人たち』を執筆して」堀川惠子さん(ジャーナリスト)

広島生まれの講師堀川惠子さんは広島テレビの記者、ディレクターを経てフリーのドキュメンタリーディレクターとして映像番組を制作。ノンフィクション作家としても数々の受賞歴がある。

 

丸山定夫(1901~1945)ら錚々たる新劇俳優 9人がなぜ小所帯の移動劇団「桜隊」にいたのか。堀川さんは、桜隊が1945年8月6日、巡業先広島で原爆に遭って全滅した悲劇のドキュメンタリー番組(2005年、NHK)を担当し、当時、再放送されるなど評価を得た。 10年後、そこでは資料不足のために描き切れなかった彼らの広島に至る道のりを本にまとめようと、一次資料探しに奔走した。そして丸山らを探すため、自身「入市被曝」した演出家八田元夫(1903~1976)の膨大な遺品が早稲田大学の演劇博物館に眠っていたことを知り、演出ノートやメモなど万単位の資料や約700点の貴重な写真を紐解いていった。

 

そこから見えたものは近代日本の演劇の歴史であり、普通選挙法とセットで制定された治安維持法により弾圧、翻弄された演劇人の姿だった。一度法律ができると歯止めがきかなくなり、目的遂行罪により稽古場も常に監視され、目的の有無チェックは当局が行った。将来よからぬことをしかねないとして治安維持法違反者を予防拘禁する制度も導入された。

 

これらは昔話ではない。あの時代と同じ空気がこの国に漂っているいま、声を上げること、傍観してはいけないと静かに訴えた。