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市川房枝政治参画フォーラム2018「教育は誰のためのものか」

▼1日目(5/18)

講演「世界一多忙な日本の教師―生活・意識・教育実践と教員政策の課題」(共栄大学教授 藤田英典さん)

 

 2013年のOECD国際比較によると日本の教師は世界一多忙で、自己効力感と仕事満足度が極めて低い。その背景には、①教員の長時間労働(小学校週57時間、中学校63時間)があり、それに対し中教審は校長や教育委員会が勤務時間を意識した働き方を進めるなど3項目の緊急提言を出したが何の解決にもなっていないこと。②校内暴力は沈静化しているが、学校内外における暴力行為の発生件数は中学・小学校でも増加傾向にあること。③いじめの認知率は小中、特に中学校で高く、いじめ自殺は中2で多いことなどがある。いじめ自殺は1986年中野富士見中以後、事件が起きるたびに対策が立てられ、2011年大津市中の事件の翌年にいじめ防止対策推進法がつくられた。安心・安全の確保は学校の最も重要な役割であり、豊かな学びの前提条件だ。

 しかし、84年中曽根内閣の臨教審以後、「教育の危機」と称した政治主導の教育改革は心・思想の統制や教育機会の制度的格差化を進め、これらはいじめ・不登校・校内暴力・学級崩壊・少年犯罪への対応としては有効でも適切でもない。

 教師への調査によると、校務分掌の係の仕事、学校行事の運営や準備、問題を抱える児童生徒への対応、部活や課外活動の指導、保護者への対応などに負担感があると約5~6割が回答。また近年教師の多忙化に対し講じられている対策により、実際に多忙が解消されたかの問いには約9割がそう思わないと回答した。教師や職員の人員増が急務だ。

 安倍政権は教科書検定基準を中教審に報告することなく通すなど、良識欠如の教育改革を進めている。現場と市民が協働して豊かな学校づくりを進めてほしい。


情報提供「自殺対策について」(厚労省大臣官房参事官 宮原真太郎さん)

 

 自殺死は交通事故死の約6倍だが、本人以外への被害が比較的少ないことから政策課題化しなかった。しかし2006年、関係団体が国会議員を動かしてできた自殺対策基本法には、自殺が個人的な問題としてのみ捉えられるべきでないとの基本理念が掲げられた。

 自殺は1997年度決算期の98年3月、山一証券の破綻などで経済情勢が不安定になり、中高年男性を中心に一気に3万人を超えた。以後基本法や自殺総合対策大綱、地域自殺対策強化基金などの財政措置も取られたことで一定程度の成果が上がり、2012年には3万人を切り、昨年は2.1万人にまで減少。それでも毎日60人が自殺しており、防げるものを防ぐ総合対策が必要だ。

 自殺の現況を見ると、年齢階級別では働き盛り世代や20代もピークを脱したが、未成年は、数は少ないが将来のある世代の自殺対策は大きな課題となっている。

 原因・動機別に見ると、健康問題が最多だが、これはうつ病と関連付けて捉えないで、身体的、精神的複合的な問題が背景にあると考えるべきだ。国際的には、G7諸国で日本の自殺率は最も高く、男女比は7対3で男性が高いが、国際比較では日本女性は高めである。

 自殺対策は、2016年の基本法改正で都道府県・市町村に計画策定が義務付けられ、さらに17年の自殺総合対策大綱により地域レベルの実践的取組みへの支援強化や子ども・若者の自殺対策、長時間労働ほか勤務問題による自殺対策など、抜本的な見直しが行われた。

 この対策のための18年度予算額は31億円(うち26億円は地域自殺対策強化交付金として自治体の財源)で、座間市の事件の再発防止策として前年を1億円上回った。若者対策としては、その特性に応じ、ICTを活用したアウトリーチ策や、インターネットを活用した検索の仕組みなど、支援策情報の集約・提供の強化などに取り組む。

 


▼2日目(5/19)

カレントトピックス「浮ついた『改憲論議』を糾す―『フェイク改憲』に幻惑されないために」(早稲田大学教授 水島朝穂さん)

 

Coming soon.


講演「教育は何をなすべきか―公教育改革の制度設計を考える」(日本大学教授 広田照幸さん)

 

Coming soon.