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市川房枝政治参画フォーラム「2024年度予算、国・自治体はどう動く」

1.  基調講演 「2024年度予算、国・自治体はどう動く」

元 地方自治総合研究所 菅原 敏夫

◎肩慣らしにトピックスから。

  • 東京都2024予算発表1月26日:史上最高額。税収の増。
  • 話題となっている学校給食の無償化⇒タダになるとどうなる?!
  • 千葉県いすみ市では有機給食にしたら残滓が減ったといわれている。
  • 「自分たちが恩恵を受けている制度を大事にしよう」
    ⇒自己負担分があることで医療保険、介護保険も保たれている面がある。
  • 無償化については、自治体向けの補助金の割合が問題となることに注目すべし。

市町村の予算が住民の生活を決める。ゆえに、市町村に焦点をあてた講義にしたい。

  • ポイント:高齢化の話~局面が変化し始めた。「少子高齢」という文言がなくなっている。
    • 景気のヤマ・タニ 
      • 経済の状況と関連して「デフレ脱却と長く言われてきたが、本当のところその行方はどうなのか?
        日銀はまだまだ金利続けるというが、どうなのか?
    •  将来負担比率 一番実効性のある財政指標 変化が起きつつある
    • 格差の原因は、ホントに考えられているのか? 
      • ジェンダー格差が景気を規定している!? 非常にボリュームのある格差だ
      • 子どもの貧困、非正規格差、これらを直さないとGDPは上がらない。
      • 給与改定・会計年度任用職員への勤勉手当支給に要する地方財源の確保は?
  • 【全国都道府県財政課長合同会議】いわゆる「内翰」からこども子育て関連をピックアップする。
    • 予算編成上の留意事項~今年の自治体への指摘(アドバイス)は67項目。
    • 子ども子育ての自治体政策~留意事項の中で増えた部分は、
      • 所得税・個人住民税の定額減税(2024のみ)に伴う減収への対応
      • こども・子育て政策の強化に係る地方財源の確保
      • こども子育てにかかる支援事業費
      • 算定費目として「こども子育て費(仮称)」を創設する…と言っているが、補助金はほぼない。実はこども家庭庁には独自予算はない。
      • こども子育て費…何億円つけた、というが使途の制限はない。頑張って使ってくれというだけで、現場の自治体次第。使うよう「予算化しない限り単なる一般財源」でしかないことに着目すべき。

(鈴)


2.「横須賀市におけるデジタル・ガバメント推進の取組み  ~人は人にしかできない仕事を! 横須賀市のDXの挑戦」

横須賀市 経営企画部 ICT 戦略専門官 松本 敏生

 世は、IT、AIの報道が引きも切らず、行政でもDX化が花盛りであるが、実際の自治体ではどのように具体化されているのか、個別具体の政策としてどのようか…横須賀市の専門官による事例をきいた。

◎ソフトウェア開発・コンサル企業に25年勤務の後、横須賀市経営企画部ICT戦略専門官として勤務している。横須賀市の人口は38万人、職員数は3,300名、財政規模は3,278億円である。

  • 20年後には30万人をきる状況を想定し、人口減少に備え、半数の職員でも可能になるようにデジタル技術を活用し、業務生産性を向上させ、住民のケアにシフトする。市税収入の減に対応して住民サービスを低下させないことを目標に進めている。
  • システムを役所仕様にカスタマイズしてきたが多額の費用が掛かっている。スマートにシンプルに考えていくべき。
  • 行政は要件の出し方に甘い面がある。特に運用保守委託の人件費は前年度を踏まえて1年単位で見直しするように指導している。

◎DXを嚙み砕いて解説

  • なぜ、自治体がDXを推進するのか
    ~HPの検索の利用比率をみると8割スマホ、2割がPCの時代。
    今後はスマホを使う前提でのサービスが求められる。
  • DXとは、まず最初に業務・サービスを見直すことである(デジタル化ありきではない)。
  • 「D」よりも「X=変わること」が重要と捉えてもらいたい。
  • 自治体DXの推進に必要なことは、

①既存の業務、サービス(あり方)の抜本的な見直し

②データとデジタル技術の積極的な活用

③新たな付加価値の創出

 

  • 優先すべきは「人間」にしかできない仕事であり、DX推進によって市民と向き合う時間を捻出しサービス向上に努めることである。

【総務省の「自治体DX推進計画の概要】重点取組み事項とめざす姿は以下の通り。

  自治体の情報システムの標準化・共有化:ガバメント・クラウドの活用に向けた検討を踏まえ、基幹系20業務システムを国の策定する標準仕様に準拠したシステムに移行。

  マイナンバーカードの普及促進:殆どの住民がマイナンバーカードの保有をめざし、申請を促進するとともに交付体制を充実させる。

  自治体の行政手続きのオンライン化:マイナポータルからマイナンバーカードを用いてオンライン手続きを実現する(子育てや介護の合計31手続き)

  自治体のAI・RPAの利用促進:職員の事務作業を軽減し、捻出した時間・人材・財源を国民に寄り添う良質なサービス提供にあてることが可能となる。

  テレワークの推進

  セキュリティー対策の徹底

(鈴)


 3. これからの都市計画とまちづくり  ~フェミニズムから学ぶ~」

東北大学大学院教授  窪田 亜矢

「都市」は物理的な空間であるだけでなく、そこに生活する市民や仕組みも

併せてはじめて「今の姿」になると主張する氏は東北大学工学研究科教授。

東日本震災津波被害地のフィールドワークからの「まちづくり」を語った。

◎まちづくりのこれまで

 

1. 国(公)は、都市計画法(1968年)によるマスタープランを策定することによって、都市の将来設計を進める手法をとってきたが、公害や高度成長期の乱開発等によって、環境破壊や住民の暮らしが脅かされる実態があったことから、住民による「まちづくり」が推進された。

  • 草創期~1980年代半ばまでは、都市計画マスタープランに対抗して、まちを「守る」という目的が明確だった。
  • 知床では自然環境保全のための知床1㎡運動
  • 木曽の妻籠宿では「売らない・貸さない・壊さない」住民憲章がつくられた。
  • 金沢市では「伝統環境保存条例」、倉敷市では「伝統美観保存条例」が制定され1974年には全国町並み保存連盟がつくられるなど、住民参加によって、都市空間の質が変化していった。都市計画に「ひとつの答え」があるわけではない。

 ➡「公」は違法ではないが、環境破壊だと異を唱える地域社会(共)が出現し、地域社会の目的は「守る」ことであり、「守る」主体は当事者としての地域社会、共によるまちづくりの実践が公の論理を変えていったのである。

  • その後2000年頃まで~公の中に共が位置づけられた
    • 草創期の「公」との対立図を経て、都市計画という大枠の中にまちづくりが含まれるようになった。また2004年の景観法により、質の議論が制度上は可能になった。
  • 2000年~現在までは、弱体化した「守る」主体としての共となった。
    • こうした「共」の弱体化が明確になったのは東日本大震災2011の「後」である。「まちづくり」という用語から草創期の意味はなくなった。行政や企業が主導する空間改変も「まちづくり」といわれる。移動の自由が制限されて、在居が奪われたにもかかわらず・・・。

◎津波被災地にみる都市計画とまちづくり

  • 国の中央防災会議は、防潮堤や盛土、高台移転などハード整備を地元自治体負担なしで整備する方針を示した。しかし、防潮堤の高さの決定時期は2011年末までとされたため、津波犠牲者を抱えた被災者は将来への展望も見えないなか、地元の議論は困難を極めた。
  • 防潮堤の何が悪かったかといえば、地域住民がどのように暮らしたいのかという徹底的な議論を不可能にしたことである。
  • 盛土・高台移転という「防災対策」によって住民に分断がもたらされたことは否めない。
  • 国の復興計画のめざしてきたことは何だったのかと問わざるを得ない。

(鈴)



市川房枝政治参画フォーラム「2024 年度予算、国・自治体はどう動く」

【主催者メッセージ】

社会全体に格差が広がっています。一方、コロナ禍が続く中でも総務省の昨年7月発表では地方税収は過去最高更新、国税収入も史上最高を更新とのことです。国の財政状況を理解し、住民が安心して暮らせるための自治体予算とは何か、最先端自治体の事例から行政DXは何のために導入するのか、また、これからの都市計画とまちづくりについても学びます。多くのご参加をお待ちしています。

日時 2024年1月27日(土)10:00~16:15
会場

婦選会館<対面式>

(東京都渋谷区代々木2-21-11)

講師

▽基調講演

2024年度予算、国・自治体はどう動く
菅原敏夫さん(元 地方自治総合研究所)

▽講演

横須賀市におけるデジタル・ガバメント推進の取組み
松本 敏生さん(横須賀市 経営企画部 ICT戦略専門官)

▽ 講演

これからの都市計画とまちづくり

窪田 亜矢さん(東北大学大学院教授)

▽16:30~17:30 交流会(自由参加・要予約・茶菓代500円)

参加費

現職議員12,000円・現職議員以外5,000円

(音声(CD)受講有り:1コマ3,000円+送料)

定員 約40名(要予約、受付先着順)
申し込み方法 フォーム、メール、FAX、電話でお申し込みください。