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2019統一地方選直前セミナー ~議会はあなたを待っている

 来年4月の第19回統一地方選を控え、選挙にはじめてチャレンジする女性たちを応援するためのセミナーを開催した。二部構成で、午前中は「住民参加型選挙運動の実際」と「2019統一地方選挙に向けて、ネット選挙はどう変わったか」の2本立て。午後は連続講座③「地方議会の役割は何か―住民自治を取り戻すために」(別掲)に合流。終了後は本セミナー参加者による交流会を行った。岩手や静岡を含む8都県から約30人が参加した。半数が初チャレンジを考慮中と2期目を目指す女性たちだった。

 

 最初は、当財団の市川房枝政治参画フォーラムで学び、住民参加型の選挙運動を実践してきた現職女性議員3人が講師を務めた。「選挙運動の準備」については、大河巳渡子・東京都調布市議(6期目)が「選挙運動ハンドブック」(2010年、当財団発行)をテキストに説明した。自分たちがどんなまちづくりをしていくかを仲間とトコトン話し合って立候補者を決め、立候補を決意することがスタートだとして、「選挙の2、3カ月前から準備」「1カ月前には事務手続きや様々な手配・確認」「1週間前、直前準備」「いよいよ選挙開始」「選挙が終わったら…当選しても落選しても」と、選挙準備のための政治活動と選挙運動の違いを説明しながら、流れを語った。資金作りのバザーは支援者を広げるきっかけとなることや、ネクタイでリメイクして作ったポシェットやカンパ袋、またリーフレットや公選葉書など、随所に工夫を凝らした選挙運動グッズの実物もお役立ち情報だった。

 

 続いて青木美智子・栃木県小山市議(5期目)と、寺沢文子・東京都千代田区議(5期目)が選挙ポスターやリーフレット、選挙公報などを示して、「私の選挙運動」を語った。

 小山市に地縁・血縁のない青木さんが海外研修仲間の女性たちに急きょ推され、夫の理解も得て初挑戦したのは選挙の2カ月前。立候補予定者への選挙管理委員会の事前説明会も終わった後で、この時は30票差で落選した。4年後は、地元で生まれ育った仲間を増やして人脈チャートを広げ、自治会の協力も得て当選を果たしたが、広い市内は4分割して回り、選挙カーには初日と最終日だけ乗って、あとはひざ突きあわせてのミニ集会を重ねたのが有効だったという。自宅を選挙事務所にしたので、ボランティアや訪問者が事務所に入りやすいように工夫したとも語った。

 寺沢さんも転入組だが、千代田区は現在昼間人口85万人に対し夜間人口は6万人、その9割がセキュリティの厳しいマンション住民で、最低ラインの500票を得るために無所属候補が割って入るのは非常に難しい地域だ。パートをやめて配食のボランティア活動を始めた矢先、その仲間に区議補選への出馬を勧められた。当初反対した会社員の夫は子どもと義母の賛成で折れて立候補したが、自民推薦の男性新人候補に一歩及ばなかった。惜敗だったので仲間は2年後の選挙に向けて盛り上がり、夫も2度目からはラジオ体操の会など地元の仲間に協力を頼んでくれたと、下町の選挙を語った。


 次のテーマは「ネット選挙はどう変わったか」。2013年の参院選からネット選挙が解禁されたが、ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟の調査(2018年7月)によると、今後の地方議員選で参考にしたいツールは「選挙公報」30.9%、「テレビ報道」27.9%、「新聞報道」21.5%が上位で、「候補者のHP」17.1%、「政治ニュースのネットメディア」15.5%が続き、来年の地方選挙から解禁される「選挙運動用ビラ」は9.5%だった。

 

 前回の地方議員選で投票先を決めた際に見聞きしたツールも上位は同様で、ネットによる情報発信も10位以内に複数あり、ネットは「一定の存在感が出てきた」と講師の青木さんは分析する。このように情報経路がウェブサイト・ブログ・SNS・ニュースサイトにシフトしてきている現在、候補者はこれらを利用してファンを増やすことや、外部メディアに掲載されて露出と認知を高める対策が必要だとした上で、「のっとり」「なりすまし」などに注意すべきとネットやSNS活用の注意点や、テキストだけよりも「絵」(装飾や写真、動画)が効果的だとフェイスブック活用のポイントなどを述べた。