基調講演「激動する世界と混迷する日本の中で、地域で取り組むべき地域エネルギーの自立」
飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所(ISEP)所長)

2011年の福島第一原子力発電所の事故を契機に、原発については再生可能エネルギーの拡大を図る中で、「可能な限り原発依存度を低減する」方向で進んできた。今年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画からは「可能な限り原発依存度を低減する」の文言が削除された。実態は第2次安倍政権の2013年から原発の再稼働を着々と準備していた。
日本の原子力産業を俯瞰してみると、「40年廃炉」は明らかに不可能である。デブリは土壌に広がり、取り除くことはできない。地下に封じ込めするしかない。「40年廃炉」は何の根拠もなく決めている。また、東京電力は福島の廃炉、損害賠償を抱えているが、様々なからくりで黒字になっている。本来は上場企業として存在不可能である。
使用済み核燃料の再処理工場と核燃料サイクルは技術的・経済的・システム的に破綻している。核廃棄物はどうするかの道筋はない。副次的な産物としての汚染水(汚染された処理水)の海洋放出、汚染土(除染土)についてはベクレルの二重基準とともに、外部被曝ではなく内部被曝、低線量被曝の怖さを忘れてはならない。
原発は再稼働してもエンドレスに使用済み核燃料を生み出す。福島第一原発事故では東電、経産省はだれも責任をとっていない。国民負担だけが増す構図である。
それに加え原発自体が気候変動に対して脆弱であり(海水温や海面上昇、クラゲ繁殖による冷却停止)、持続可能なエネルギーではない(ウランは有限、核廃棄物の最終処分の難題)。今後廃炉が増加する。一方、新規の小型原発はコストが高く、量的生産は期待できず、工期が遅れ続けている。従来の原発の30倍の核廃棄物を発生する。
現在は、再生可能エネルギー100%が低コストで実現可能であることが世界の科学者達の主流になっている。2014年と比べ、太陽光発電は12.5倍、蓄電池は100倍以上、電気自動車の新車販売は53倍増え、エネルギーの大転換が始まっている。再エネ電力(太陽光、風力発電)を電気自動車に、ガスや温熱へ、水素をつくり二酸化炭素と掛け合わせメタンガスとしカーボンニュートラルな天然ガスへ、ジェト燃料など産業へ、水素からアンモニアをつくり窒素肥料作る農業分野へ等、電力分野から他の分野へ繋ぐことができる。
ベースロードは東京電力のように地域独占、発電、送電、小売りを一社が担い、化石燃料、原子力が中心であるが、現在は予測ができ管理ができ、柔軟性をもつ自然変動型電源(太陽光+風力)の比率が高まってきている。東京電力は電力不足をいうが、家庭での太陽光発電はカウントしておらず、10%ほど電気は余っている。デンマークと南オーストラリアでは、再エネ100%超が数日間続く地域もある。
日本の太陽光発電普及は世界3位から5位へと落ちている。目標値も低い。日本の最大の問題は、固定価格買取は建設した時の価格であるべきだが、認定時の価格のままが生き残っているという制度失敗にある。数年で過剰利益が生じ、「権利移転、系統連携、土地」の3点セットに対し、乱開発、土地の売買、自然破壊型のソーラーパネル設置、国民負担の増加、電力系統の抑制が国の異常な太陽光抑制政策を生み出した。平地面積当たりの太陽光設備容量から判断すると「日本には太陽光設備をつくる場所がない」という空気があるが、垂直ソーラーや海上ソーラー、建築系、農地系(農業をしながら、農家所有型太陽光をする)など導入可能性は大である。
再エネで地域自立をすると地域経済的にメリットがでる。国民世論はいつかは原子力はやめようである。太陽光と蓄電器で電気はシンプルにできる。
無料で家庭に太陽光発と蓄電器の設置を行い、自家消費と余剰電力売電により200軒の住宅で1メガソーラー分の地域新電力がうまれる試みを宮古島で行っている。クリーンな電気が生まれ、エネルギーと仕事とお金の地産・地消ができる。(田)
自治体からの報告 「脱原発への政治家の責任」
宮嶋謙氏(かすみがうら市長)
公開まで今しばらくお待ちください。

自治体からの報告 「脱原発への政治家の責任脱原発社会をめざし、今、私たちができること」
遊佐美由紀氏(宮城県議)
公開まで今しばらくお待ちください。

自治体からの報告 「東海第二をめぐって-東海村での現在」
村上志保氏(東海村議)
公開まで今しばらくお待ちください。

シンポジウム「気候危機、エネルギー危機、戦争の危機の時代へ 原発ではなく、地域からの自然エネルギーこそが回答原発とエネルギーを巡る政府の政策と現状と今後について、地方自治体行政や自治体議員が取り組むべきこと」
◆パネリスト:宮嶋謙氏、遊佐美由紀氏、村上志保氏
◆コーディネーター: 飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所所長)

公開まで今しばらくお待ちください。
脱原発1日セミナー「原発回帰を止め、再エネ政策推進へ〜脱原発社会を目指して〜」
日時 | 2025年8月1日(金)10:00~16:30 |
会場 | |
講師 |
▽基調講演 「激動する世界と混迷する日本の中で、地域で取り組むべき地域エネルギーの自立」 飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所(ISEP)所長) ▽自治体からの報告 「脱原発への政治家の責任」 宮嶋謙氏(かすみがうら市長) ▽自治体からの報告 「脱原発社会をめざし、今、私たちができること」 遊佐美由紀氏(宮城県議) ▽自治体からの報告 「東海第二をめぐって-東海村での現在」 村上志保氏(東海村議) ▽シンポジウム 「原発とエネルギーを巡る政府の政策と現状と今後について、地方自治体行政や自治体議員が取り組むべきこと」 パネリスト:宮嶋謙氏、遊佐美由紀氏、村上志保氏 コーディネーター:飯田哲也氏 |
参加費 |
現職議員12,000円・現職議員以外5,000円 〈音声(CD)受講:1コマ3,000円+送料〉 |
定員 | 約40名(要予約、受付先着順) |
申し込み方法 | フォーム、メール、FAX、電話でお申し込みください。 |